芋むし
頑張ろうと思っているのだが、うまく頑張れなくて、じたばたと暴れてみている。手足を存分に振り回していかにも危なそうな人物を表現したいが、手も足もまんぞくに振り上がることはなく、振り上がらないからまんぞくに振り下ろされることもない。
「何をやってるんだ」
キィニチが呆れたような声を出した。
「ちょっとどうにかなりたくて、暴れてるの」
「そんな芋むしみたいな動きで、どうにかなれるのか?」
「芋むしじゃないし」
反駁したが、想像してみると、芋むしだった。
これじゃあ危険人物は表現できそうにない。私は諦めて大の字になり、天井を見上げた。こちらを覗き込んだキィニチと目が合う。
「キィニチに誇れる人になりたかったの」
太陽の虹彩がじいと私を見据えた。薄い瞼がゆっくりと下ろされて、また持ち上げられたとき、瞳は伏したまつげに隠されるようにして逸らされていた。
そうして薄く開いた唇が、しんと冷たくて、その温度にしては妙に柔らかな声音で、「別にならなくていい」と言った。