まどろみの魔法
クルル、と喉を鳴らす音。
キィニチの膝の上、ユムカ竜の仔が柔らかく頭を撫でられている。大きな目を覆うまぶたはとろりと落ちて、時折甘えるように後肢が動く。どんな仔竜も、キィニチの手にかかればこんな風にとろけてしまう。
「魔法みたい」
「魔法?」
「キィニチに撫でてもらうと、幸せになっちゃう魔法」
カリカリと喉をかかれて、また仔竜の口から甘えた鳴き声が漏れる。耳がぴくぴく動いて、キィニチの脇腹と腕の間の隙間に、仔竜はぐい、と嘴を押し込んだ。
「私じゃこうはならないもの」
背中をゆったり撫ぜられて、仔竜はぺたりと平べったくなっていく。完全に眠る体勢に入ってしまった。
「たぶん、撫で方が硬いんだ」
キィニチはそう呟いて、また仔竜を頭から背まで、ゆっくりと毛並みをなぞるように撫でる。その手つきがあんまりにも優しいので、ぽかぽかのおひさまの下、私にまでひどいまどろみが襲ってきたのだった。